はい、というわけで勢いでブログを始めてそうそう続くもんじゃないよなと痛感しているヒグラシです。
下手に気負いすぎるからいけないのではないか。自分の趣味だし所詮誰も見ていないのだから気楽に書いていこうと思います。
記念すべき(?)第2回は僕の好きなアーティストである「ずっと真夜中でいいのに。」さんの新曲「正義」の自分なりの解釈を書いていこうかなと。
この曲は前作のMV「眩しいDNAだけ」までシリーズ的に続いていたと思われる物語とは違う、新しい物語と捉えていいと思います。
「眩しいDNAだけ」では過去のMVのキャラクターが勢揃いしていたのに対し今作は新キャラクターしか出てきませんし、東名阪ツアーが終わって心機一転ということでしょうか。
「正義」の物語が一作完結なのか、今後もこの続編が出るのか分かりませんが、夏のライブも楽しみですね。それでは早速見ていきましょう。
Ⅰ、概要
まずざっくりしたストーリーとしては、遠い昔、「必ず帰ってくるから」と嘘をついて戦争に行ってしまった父親の帰りをずっと待ち続けている女の子の話だと解釈しました。曲名の「正義」は、自国のために戦いに行くことを意味するのでしょう。
時代観としてもMV中に登場する切手や手紙、巨大なダイヤル式電話や電話ボックスなどが一昔前を想起させます。
Ⅱ、登場人物
本作のMVに登場するのはざっくりいうと
・女の子
・顔が切手の男
・黒猫風のキャラクター
ですね。ハリネズミは毎回出てくるずとまよのイメージキャラクターのような存在なので、MVという物語を読んでいる神視点のキャラクターと思ってもらっていいです。
そして、一瞬しか出てこないので見落としてしまいがちですが、一番重要と思われるのが#00:47に出てくるフライトキャップをかぶった男。
これは女の子の父親だと思います。そしてこのシーンで父親の向かい側に立っているのが小さい頃の女の子ですね。
顔が切手の男は女の子が手紙を送ったり電話をかけている相手、つまり女の子の記憶の中の、まだ生きていると思っている父親の姿と解釈しました。
一方で黒猫風のキャラクターは死んでしまって霊的な存在になった父親の姿ですね。黒猫は日本においてはしばしば霊的な象徴として描かれることがあります。
この説の裏付けとして、切手の男と黒猫はともに胸の部分に同じ飾りをつけています。ミリタリーの知識には詳しくないのですが、これは軍服についている飾諸のようなものなのでしょうか?
Ⅲ、シーンごとの解説
それでは、MVの各シーンごとに解説を加えていきたいと思います。細かく書いていくと無限に話が長くなりそうなので、ある程度重要な部分をメインで書いていきたいと思います。
#00:16 いくつもの完成して封がされ切手まで貼られた手紙。送っても届かずに戻ってきてしまいます。
#00:40 生卵です。今後のシーンでも卵かけご飯を切手男と女の子が一緒に食べているシーンや、テーブルの上の生卵に切手が貼られているシーンがありますね。この食事風景というのは女の子の小さい頃の父親との数少ない思い出なのだと思います。
#00:44 ここからのシーンは重要な情報がたくさん詰まっています。一人食卓についている女の子は過去のある出来事を思い出しています。それは家を出て飛び立つ日の父親との思い出。「必ず帰ってくるから」と約束した父親を、おそろいのフライトキャップをかぶって笑顔で見送る幼き女の子。父親の仕事はカッコいい、正義の味方のようなものだと信じていたのでしょうか。
#00:56 ここから1サビ。悲しげな表情でアルバムを見つめる女の子と、そのアルバムの中の世界に立ち尽くしている切手男。ここからも切手男が女の子の思い出の中の父親だということがわかります。
#01:16 女の子が語り掛ける思い出の中の父親は生きていたらこのくらいの年齢になっていたはずだということなんですかね。女の子の年齢に対してちょっと白髭が生えすぎな気もしますが笑。
#01:32 飛行機が墜落して主翼がもげるほどの大事故なのですから、父親はやはり亡くなっているのでしょう、この後のシーンから亡くなった父親の擬人化(?)である黒猫が登場します。
#01:48 このシーンはお風呂場でしょうか。小さい頃一緒に入ったお風呂も大事な思い出なのか、笑顔で大切そうにアヒルのおもちゃを見つめています。船のおもちゃもあります。
#02:06 ここの歌詞に「正義」が入っています。「悪いことしてなくても秘密を隠し通すことが正義なら」から、やはり父親は女の子に「戦争に行くということ」や「もう帰ってこられない」ということを伝えていなかった、優しい嘘をついていたのだと分かります。
#02:15 もげた飛行機の翼の上で眠る女の子。
#02:25 2サビ。黒猫の存在(父親の死)が女の子の心の中に入ってきます。女の子は父親がもう死んだのだというつらい現実を直視しようとしていることが、消えていく切手男(生きている父親)によって表現されています。
#02:49 死んで黒猫となった父親は自身の死を受け入れてもらえたことで娘に会えると笑顔で来ますが、女の子は茫然としており、本心ではまだ死を受け止め切れていないからうれしそうではありません。壁には小さい頃に描いた自分と父親の似顔絵や飛行機の絵が飾ったままです。
#03:00 死を受け入れたことで立ち去ろうとする切手男を涙ながらに引き留める女の子。本当は死んでいてほしくない。まだ希望を持っていたいという未練があるのだと思います。
#03:35 ラスサビ。いつものように父親に語り掛けるが、女の子の本心では死んでいることが分かっているので切手男はもう応えてくれません。
#03:56 黒猫が抜け殻となった切手男の中に入り込み、父親が生き返ります。墜落したはずの飛行機が修復されていることや、昔のように父親と一緒にご飯を食べていることから、これは長い間待ち続けた女の子に父親が見せてあげた夢なのだと思います。
#04:23 一番最後に、目を覚ました女の子のもとへ誰かがやってきます。実は生きていた父親が帰ってきたと考えるのは難しいので、まだ夢から覚めたばかりで寝ぼけまなこの女の子には夢の中で見た父親の姿が一瞬本当にいるように感じた、あるいは霊となって見守ってくれていた父親の姿が一瞬だけ見えたのだと思います。今までで一番の良い笑顔です。
・ラスサビの歌詞が誤変換になっていくのは夢に落ちて意識が薄れていく様子を表現しているのだと思いました。前回の「眩しいDNAだけ」でもラスサビで誤変換により壊れていくゲームの世界を表現していましたが、この演出はとても好きです。
・他に気づいたこととして、本PVには多くの個所で樹木や花などの植物が描かれています。樹木が大きく育っていく様子は時の流れを表現するものです。それと同時に、樹は神秘的な存在としても考えられており、ラスサビのシーンで樹の枝が飛行機の翼をつなぎ合わせてくれていたり、眠る女の子の心の中に宿っている描写から神様のようなイメージで使われているのだと思いました。
Ⅳ、感想
というわけで長くなりましたが自分なりの解釈を書いてみました。この動画のコメントでも見かけたのですが、本当にずとまよの曲やMVは考えれば考えるほど一つ一つに意味があって、小説や絵本を読んでいるような感覚になります。
こういう深みがあって素敵な曲は大好きです。
この記事を見てずとまよをより深く知るきっかけになってくれたり、共感や自分なりの解釈を持ってくださった方がいらっしゃいましたら幸いです。それでは。